ガレージ・ロック・バンドとして2002年に『Bring’em In』でデビューして以来、2009年の『Give Me Fire』までコンスタントにアルバムをリリースしてきたマンドゥ・ディアオ。デビュー当時に持っていた熱く燃えるロック魂は、キャリアを重ねても衰えることは全くなく、本当に頼もしいかぎりです。ビートルズを敬愛する彼ら、メロディ・センスも抜群で、単にラウドなだけではない、フックを持つ曲を書くことが出来るのも強みです。それではベスト盤に収録された曲の中から、気になる曲を紹介させていただきます。
前のめりなリズムがいかにもな『Long Before Rock’n’roll』。ストロークスに端を発したロックンロール・リバイバルは、ガレージ・ロックという呼び名でロックの復権を高らかに宣言しましたが、これらのバンドの一つの特徴として、変化の少ないシンプルなギター・リフで1曲押し通すということがあります。その方程式からいうとこの曲は完璧なガレージ・ロックでしょう。メロディの抑揚が少ないためドラマティックな起伏は感じないのですが、腹の底からふつふつと熱が沸き上がってくるそんな感覚のする、これぞ!といった曲です。
一つのハイライトといってもよい『Down in the Past』。この曲もシンプルなバックがかっこいいのですが、なによりもサビのヴォーカルが格好良過ぎです!野性的なアグレッシヴさ、瞬発力があり、これぞロックンロールという危ない魅力に溢れています。ストロークスのヴォーカルもゾクゾクするほどの危うさを秘めていましたが、マンドゥ・ディアオもそれに勝るとも劣らないということが、この曲を聴くとよく分かります。
この曲も必殺のサビを持つ『You Can’t Steal My Love』。この曲は通常の構成と違い、リズムの土台になっているのがギターのリフではなくベースです。なので突っ走っているというイメージがあまりしない曲ですね。こういったアクセントも面白いと思います。そしてサビでは耳に残る素晴らしいメロディが現れるのですが、このメロディは多くの人に受け入れられる、非常にキャッチーなもので、まさに必殺のメロディといえるでしょう。バンドもこのメロディにはかなりの自信があったのでしょう。後半ピアノでトーンを落としておいて、一気に爆発させるという大技まで繰り出しています。これだけ盛り上げる展開をしても、ヴォーカルの切迫感にリアリティがあるので、決して予定調和な空気にはならないのが、マンドゥ・ディアオの強みですね。演奏もよく練られています。
『Orchrasy』は3rdアルバムの、『Ode To Ochrasy』に収録されているのですが、さすがに3枚目ともなってくると色々余裕が出てきているのが感じられる作りになっています。アコースティック・ギターのアルペジオ、枯れた哀愁の漂うメロディ、そして口笛(!)。うーん、なかなか興味深い一曲ですね。
EMIからリリースされた4作品、『Bring 'em In (2003)』、『Hurricane Bar (2004年)』、『Ode To Ochrasy (2006年)』、『Never Seen The Light Of Day (2007年)』に加え、ユニバーサルからリリースされた『Give Me Fire (2009年)』21曲+2011年にレコーディングされた新曲収録。