そしてこのアルバムの目玉となる曲は9曲目の『So Far to Go』ではないでしょうか。一番の話題はディアンジェロが参加していることです。実際コモンのファンと、ディアンジェロのファンとはかなりかぶるのではないでしょうか?音の質感、音楽へのアプローチなど共通点が多いと思います。この曲の感じはコモンの『Like Water for Chocolate』や、ディアンジェロの『Voodoo』に近いものがあります。ちなみに『So Far to Go』はあのJ. Dillaのアルバムに収録されていた曲です。
無国籍なビートが特徴的な『Speak My Piece』、コモンには珍しいトリッキーなラップをみせる『Hustle Harder』、Elijah Blakeの伸びやかな歌声に誘われてメロウな展開をみせる『Real』、ファンキーなホーンが活躍する『City to City』などもありますが、経済の悪化から治安も悪化している地元シカゴへの思いも大きなモチベーションになったという情報から窺い知れるように、装飾の少ないビートにシリアスなコモンのラップが乗るという構成を持つ曲が大半です。
個人的には『I Used Love Her』が大好きで、あの曲に代表されるようなジャジーでソウルフルなサウンドを期待していたので正直がっかりしましたが、そういった思いを抜いて聴けば非常に聴き応えのある作品だと思います。ただ、非常にシリアスな作品なので聴き手を選ぶのは間違いないでしょう。アルバムは現在発売中です!
デビュー以来、一貫して質の高い作品をリリースし続けヘッズから絶大な信頼を得ているコモン。そのコモンの代表作といえば94年にリリースされた『Resurrection』でしょう。『I Used Love H.E.R.』というヒップ・ホップ史に残る名曲を収録したこの作品は、コモンという天才リリシストの才能が遺憾なく発揮された名盤でした。
それまでもヘッズの間では評価の高かったコモンが、一般レベルでブレイクするきっかけとなった2000年の4thアルバムにして名盤『Like Water for Chocolate』からの2ndシングル。
『Like Water for Chocolate』はこのあとヒップ・ホップ界、ソウル界を引っ張っていくクリエイティブ集団、the Soulquariansが形作られた作品でもあります。主なメンバーは?uestlove (of The Roots), Jay Dee (Slum Village),キーボーディストのJames Poyser, 熱狂的なソウルファンの強い支持を受けるD'Angelo、そしてベーシストのPino Palladinoなどです。
そのサウンドと共に曲の根幹をなしているのが、ボビー・コールドウェルの『Open Your Eyes』です。初期の作品では意図的にジャケットに顔を出さないことで、白人でありながらそのサウンドから黒人だとおもわれていたというエピソードをもつボビー・コールドウェル。この曲もメロディアスで心に染みるライト・ソウルの名曲です。